【レビュー】多数派の専横を防ぐ 意思決定理論とEBPM


【PR】この記事には広告を含む場合があります
  • 出版情報
  • ・著者:郡山幸雄/著 宮木幸一/著
  • ・出版日:20230328
  • ・ページ数:232P
  • レビュー数
  • ・週間:0記事
  • ・月間:0記事
  • ・年間:1記事
  • ・全期間:1記事

ジャンルTop10選

目次

大竹文雄氏(大阪大学特任教授)、川村孝氏(京都大学名誉教授)推薦!

エビデンスに基けば、望ましい治療法が選択でき、良い政策選択ができる、とEBPMを誤解している人が多い。医療では、医師、患者、家族の価値観が異なっている。公共政策ならもっと複雑だ。EBPMと集団的意思決定の両方を理解しないと、質がよくて納得できる意思決定はできない。本書は医療と公共政策の意思決定の共通点を浮かび上がらせてくれる。        (大竹文雄・大阪大学特任教授)

個人や社会が意思決定をする際の「エビデンスの活用と解釈」「意思集約の科学的方法」が具体例とともに紹介され読み応えがあり、その際の基盤となる考え方について具体的に説明されていて「なるほど」の連発で、知的興奮を覚えた。医学や経済学の専門家だけでなく、様々な立場の方に読んでいただきたい。
(川村孝・京都大学名誉教授)

●集団的な意思決定を科学する

多様な価値観や意見、情報、選好を持つ人々が集まって集団的な決定をするのは難しい。その難しさを自覚した上で、望ましい決定を導くための工夫や制度について詳しく知ることは、様々な立場のステークホルダーにとって重要だ。本書では、社会的な意見集約と意思決定の科学について詳しく述べる。特に、EBM(科学的根拠に基づいた医療)、EBPM(科学的根拠に基づいた政策決定)、SDM(共同意思決定)、CDM(集団的意思決定)の理論と応用における具体例をふんだんに紹介することで、実感を伴った理解が深まることを目指した。

●医学と経済学の共通点から解決策を導く

医学と経済学という、一見遠く離れた分野の共通点に焦点を合わせているのが本書の特徴。前半部分では、医学博士の宮木幸一が疫学における様々な実践例と理論を通して、EBM とEBPM の重要性、データ解釈や因果推論における落とし穴、相関関係と因果推論、人の認知の本質に関わるバイアスという落とし穴などについて解説。データを得る際にRCT(ランダム化比較試験)を使うことの重要性や、ヒルの因果性判定基準など、具体的な例と対策を紹介する。
後半部分では、経済学博士の郡山幸雄が、集団的意思決定(CDM)の理論について紹介。メカニズム・デザインやゲーム理論、投票理論を通して、意見集約と合意形成の様々な工夫について解説。理論を用いることの重要性だけではなく、人のココロにひびく施策を行うための具体例や実践例を幅広く紹介する。

概要

科学的な意思決定はどう行うのか? 多数決が正しいのか? 経済学と医学のツールを使ってその解に迫る。豊富な事例を使って解説。

レビューの一覧

 ・【決定版】因果推論本の読書ガイド31冊〜『インベンス・ルービン 統計的因果推論』和訳記念![2023-06-24に投稿]


amazonで確認