【レビュー】確率は迷う


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  • 出版情報
  • ・著者:PrakashGorroochurn/著 野間口謙太郎/翻訳
  • ・出版日:20180830
  • ・ページ数:400P
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ジャンルTop10選

目次

訳者まえがき/著者まえがき

問題1 カルダーノと偶然のゲーム (1564)

問題2 ガリレオとサイコロに関する発見 (1620)

問題3 シュバリエ・ド・メレの問題I:サイコロ問題 (1654)

問題4 シュバリエ・ド・メレの問題II:分配問題 (1654)

問題5 ホイヘンスと賭博者の破産 (1657)

問題6 ニュートンへのピープスからの質問 (1693)

問題7 モンモールと一致の問題 (1708)

問題8 ヤコブ・ベルヌーイと黄金定理 (1713)

問題9 ド・モアブルの問題 (1730)

問題10 ド・モアブル,ガウス,正規曲線 (1730, 1809)

問題11 ダニエル・ベルヌーイとサンクト・ペテルブルグ問題 (1738)

問題12 ダランベールと『表か裏か』 (1754)

問題13 ダランベールと賭博者の誤謬 (1761)

問題14 ベイズ,ラプラス,確率の哲学 (1764, 1774)

問題15 ライプニッツの誤謬 (1768)

問題16 ビュフォンの針の問題 (1777)

問題17 ベルトランの投票問題 (1887)

問題18 ベルトランの奇妙な3つの箱 (1889)

問題19 ベルトランの弦 (1889)

問題20 3枚の硬貨とゴールトンのパズル (1894)

問題21 ルイス・キャロルの枕頭問題 No.72 (1894)

問題22 ボレルともう1つの正規性 (1909)

問題23 ボレルのパラドックスとコルモゴロフの公理 (1909, 1933)

問題24 ボレルと猿と新創造論 (1913)

問題25 クライチックのネクタイとニューカムの問題 (1930, 1960)

問題26 フィッシャーと紅茶をたしなむ婦人 (1935)

問題27 ベンフォードと先頭数字の奇妙な振る舞い (1938)

問題28 誕生日問題 (1939)

問題29 レビと逆正弦法則 (1939)

問題30 シンプソンのパラドックス (1951)

問題31 ガモフとスターンとエレベーター (1958)

問題32 モンティ・ホールと車と山羊 (1975)

問題33 パロンドーの当惑させるパラドックス (1996)

参考文献/図版出典/索引

概要

「私の個人的書庫に必ず加わるであろう,素晴らしい本である」―― ポール・ナーイン
"A great book, one that I will certainly add to my personal library." ――Paul J. Nahin
("2012 PROSE Award for mathematics"受賞の祝辞。原著ペーパーバック版・裏面より)

 本書は,カルダノによって創成されてから450年あまりの確率論の歴史のなかで,分野の発展に大きく貢献した問題・歴史的意義が大きい問題を33問取り上げた解説書である。
 各章は,「問題→解答→考察」で統一した構成となっている。特に「考察」では,取り上げる各問題の出典元を原ねることから始め,必要に応じ数学的証明なども絡めながら詳細な議論が行われる。文章中に図版や書簡,論文を積極的に取り入れることで,どういう経緯でその問題が生まれ,数学者たちがどういった考察や議論のもとでその問題に挑み,ときに苦悩し迷い,そして解決への道を辿ったかが,非常に丁寧かつ活き活きと描かれる。現在では歴史的大数学者とも評される人物の意外な様子なども浮き彫りにされている。

 扱う話題は,「正常な硬貨を2回投げて,少なくとも1回表が出る確率は?」(問題12)といった平易なものから,測度論を用いるような高度な確率解析(問題23)まで多岐に亘るが,確率に関する基礎的な知識があれば十分に楽しむことができるよう十二分の配慮がなされている。
確率論の歴史書としての面と啓蒙書・入門書としての面を見事に両立させている,これまでにない優れた書籍と言えるだろう。

レビューの一覧

 ・ベルトランのパラドクスをPythonでシミュレーションしてみる[2018-12-22に投稿]


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